2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹花 洋佑 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本哲学 / 京都学派 / 西田幾多郎 / 田辺元 / 三木清 / 行為 / 絶対無 / 種の論理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、京都学派の哲学を「行為の哲学」として把握し、そのことによって京都学派の哲学を哲学史・思想史上に位置付け、その哲学的可能性を探っていこうとするものである。この目的を果すために、具体的には、西田幾多郎、田辺元、三木清の哲学を中心に取り上げ、三者の哲学の連関性と相違性をつかむという方法を取ることにする。 本年度の研究実施計画は、田辺哲学の発展史的解明を行うというものである。このことは本年度次の二点に即してなされた。1、田辺哲学の発展に対する西田哲学の関係。2、田辺哲学の前期から後期への転回の論理的意義の解明。 1、田辺哲学が西田哲学の影響を受けて発展したものであることは周知の事実となっているが、具体的に田辺が西田哲学のどの思想に影響を受け、それをどのようなものとして解釈し、そしてそれが田辺哲学の発展にいかに寄与したのかということは、これまで必ずしも明確にされてこなかったといえる。本研究では、この問題に関して、田辺が西田の「永遠の今」という思想に影響を受けているということ、そして西田の「永遠の今」があくまで「永遠の今の自己限定」であるのに対し、田辺はこれを言わば"永遠の今の行為的限定"として捉えていることを明らかにした。そして、この相違が基礎となって、田辺は西田に対する批判として「種の論理」を提唱するに至ったということを解明した。 2、田辺哲学の転回は、前期の「自力主義」、理性主義の立場から、後期の「他力主義」、「懺悔道」の立場への転回と捉えられているが、これは論理的には、道徳的行為における意志の転換によって可能となるとされていた絶対無が、それ自身転換性の原理、自己否定的原理となったということを明らかにした。
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Research Products
(1 results)