2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹花 洋佑 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 京都学派 / 西田幾多郎 / 田辺元 / ヘーゲル / 行為 / 絶対無 |
Research Abstract |
本研究は、京都学派における行為の問題を明らかにし、その意義を哲学史上に位置づけることを目的とするものである。本年度の研究は、西田幾多郎と田辺元とにおいてそれぞれの行為論の原理となっているところの絶対無の論理的差異の明らかにすること中心にして行なわれた。また、このことをヘーゲルの『論理学』の思想を参照軸にして解明することによって、両哲学の哲学史上の位置を確定することを試みた。このことは具体的には以下の二点に即して行われた。1、「ヘーゲル判断論と西田哲学」においては後期西田哲学の論理構造を「コプラの論理」として明らかにすることが目指されている。これまでも西田哲学を「コプラの論理として捉えようとすることは試みられていたが、その場合西田自身が自らの論理を「述語の論理」としていたということと「コプラの論理」との関係性は必ずしも明確には述べられてこなかったように思われる。そこで、本論文において、西田哲学に大きな影響を与えているヘーゲル哲学とりわけその判断論についての西田の理解の変遷をたどることによって、西田哲学の展開が「述語の論理」から「コプラの論理」へ移行として捉えられることを詳細に明らかにした。2、「個体性と媒介」においては、上記の成果を踏まえ、西田哲学と田辺哲学との差異を両者のヘーゲル概論論理解の差異という視点から明らかにするこということを試みた。その際注目したのが、両者がヘーゲル概念論において論じられるコプラの本質をそれぞれ異なったところに見ているという点であり、このことを詳細に明らかにすることを通して両者の絶対無の捉え方の相違を解明した。
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Research Products
(3 results)