2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田 世民 京都大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 崎門派 / 浅見絅斎 / 文公家礼 / 水戸藩 / 喪祭儀略 / 徳川光圀 / 朱舜水 / 明文化 |
Research Abstract |
1、近世の朱子学者だった崎門派、とくに浅見絅斎の『文公家礼』受容の実相を分析した。そこで明らかにしたのは、絅斎が『文公家礼』実践を通じて、儒家の喪祭儀礼に具現された朱子学的死生観を忠実に守ろうとしたことと、朱子学の思想を生きようとしたことである。 2、水戸藩の儒礼受容について、二代藩主徳川光圀が藩士たちに頒布した儒式喪祭礼のマニュアル書『喪祭儀略』を中心に分析した。まず、『喪祭儀略』の諸本を検討し、その内容の変遷とその意義を分析した。つぎに、水戸藩の喪祭礼実践における朱舜水の役割に注目し、その人と著述が与えた影響について検討した。そして、それを近世日本における明文化受容の一事例として考察した。さらに、後期水戸学における喪祭礼の実践とそれに関する著述を分析し、水戸藩の儒礼受容という文脈でその意味を捉えた。以上の考察を通じて、水戸藩における喪祭礼を中心とした儒礼受容のあり様を明らかにした。 また、朱子『家礼』をあたう限り忠実に実践しようとし、極端にいえば明の文化や明儒の説などを峻拒した崎門派と比べて、水戸藩の喪祭礼受容は、同時代の明風を積極的に受容していたことが分った。その分、朱子『家礼』を相対化していたと言って良い。それは仏教を排した光圀の明文化の自覚的受容の一環であった。なお、2の研究成果を『京都大学大学院教育学研究科紀要』53号において「水戸藩の儒礼受容-『喪祭儀略』を中心に」というタイトルでまとめた。
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Research Products
(6 results)