2007 Fiscal Year Annual Research Report
チーム・マネジメントによる危機対応型組織の構築に関する一考察
Project/Area Number |
05J02072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
深見 真希 Kyoto University, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 危機管理 / アメリカ合衆国 / 組織開発 / FEMA / フロフェッション化 / 減災 |
Research Abstract |
本研究は危機管理当局におけるチーム・マネジメントの有効性を考察することを目的としているが、本研究において危機管理当局とは対外事案を対象とした組織(軍事組織)とは区別し、国内事案を対象とした危機管理組織(消防や警察等)をさす。平成18年度の研究成果から、アメリカ合衆国危機管理当局におけるチーム・マネジメントは人的資源開発や組織開発的取り組みであることが分かった。そこで、19年度はその発生史的側面に焦点を当てるべく過程追跡を実施するとともに、人的側面すなわち危機管理職員のプロフェッション化についても考察をおこなった。結果、以下のことが明らかになった。第一に、アメリカ合衆国国内事案危機管理における初の単一リーダーシップとしてFEMAが設立されたのは1978年のカーター改革によるものであるが、そのとき、それまで戦時(対外事案)を想定していた危機管理に、平時における「研究開発、公共教育、訓練や国土利用の公式化、標準の構築」である「減災」という概念を持ち込み、それをきっかけに、国内事案を対象とした危機管理が登場したことがわかった。以来、プロフェッションの象徴である消防大学校が牽引してきた研究開発を中心的原則としながら、システム・アプローチにもとづくアポリティカルな研究教育ベースの危機管理システムが形成されてきたのであり、これがチーム・マネジメントを鍵とする組織開発的取組みを促進したと考えられた。第二に、カーターは、FEMA設立を「過程」ととらえ、状況に応じて変革していく柔軟性を強調した。この柔軟性の確保が、今日のアメリカ合衆国危機管理における弾力的な変革が可能になっている風土の創出、すなわち組織開発を実施する素地を醸成したと考えられた。
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Research Products
(12 results)