2006 Fiscal Year Annual Research Report
チームマネジメントによる危機対応型組織の構築に関する一考察
Project/Area Number |
05J02072
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
深見 真希 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | インシデント・コマンド / 緊急事態管理 / 危機対応組織 / 危機管理 / チームマネジメント / CRM / クルーリソースマネジメント / 教育訓練 |
Research Abstract |
平成18年度は、米国緊急事態管理標準であるインシデント・コマンド・システム、ならびに緊急事態管理当局における同システムの教育訓練について事例研究をおこなった。このシステムは、緊急事態発生時に多当局多行政区が協働できるように導入された指揮統制重視のマネジメント・システム標準である。同システムは日本でも導入が検討されているが、組織論的見地からの研究は行われていないため、本研究では組織論的解釈を行うことを目的とした。同システムは効率的で有効な危機対応マネジメントモデルであるから、この事例研究によって本研究の目指す「危機対応型組織」を、より具体的に理解することができたと思う。 この事例研究は、平成17年度より文献調査およびボランティアで協力してくれている京都市消防局職員らとの研究会を経て調査項目が絞られ、平成18年7月20日から9月16日までの間、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の協力を得ながら、ロサンゼルスのカウンティ緊急事態対策本部と市緊急事態準備局でおこなわれた。結果、米国における危機管理では、マネジリアルな知識を教育訓練すること、特にインシデント・コマンド・システムにおける職位ならびにマネジメント原則を広く教育することが鍵であることがわかった。これらの成果は、「米国カリフォルニア州における緊急事態管理-(1)インシデント・コマンド・システムの概要、(2)法的枠組みとその実施に関する事例研究、(3)職員教育と市民教育」として、京大経済学会モノグラフで平成19年春、発表予定である。 また、多くの緊急事態対応当局で採用されているチームマネジメント訓練CRM(クルーリソースマネジメント)については、平成17年度からサーヴェイをおこなっているが、その概念を紹介する意味で「危機のマネジメント-事故と安全:チームによる克服」(田尾雅夫監訳、深見真希、草野千秋訳)を出版したところである。
|
Research Products
(4 results)