2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02087
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
羽倉 信宏 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 身体運動感覚 / 視覚 / 感覚統合 / 小脳 / fMRI |
Research Abstract |
たとえ運動の最中であっても、我々は自己身体が空間のどこを動いているのかを正確に知ることができる。これは身体運動由来の求心性情報から身体位置を算出する機構(身体図式)が脳内に存在することによって成されていると考えられる。この身体運動由来の求心性情報は、筋骨格系からの運動感覚情報に限らず、多くの場合、視覚情報も伴う。本年度の研究では、手の運動感覚情報と視覚情報の過程を調査した。 行動学実験では、被験者群は右手の屈曲する運動錯覚(手首伸筋の腱への振動刺激)を経験しながら、自分の手が屈曲方向(方向一致条件)、もしくは伸展方向(方向不一致条件)へ動くビデオ画像を観察した。手運動画像の速度は両方向とも3種類ずつ設定した。第一fMRI(機能的磁気共鳴画像法)実験では、被験者群の脳活動を方向一致条件,および方向不一致条件で測定した。その際,視覚画像速度は両方向とも同一に設定した。第fMRI実験では、新たな被験者群が運動錯覚を経験しながら3種類の速度の方向一致手運動画像のいずれかを観察し、その脳活動を測定した。 行動学実験では、方向一致条件では錯覚量が視覚画像速度に依存して変化したのに対し、不一致条件ではそのような影響は見られなかった。これは両感覚様式から得られる手の運動方向情報が一致した時にのみ、運動感覚情報と視覚情報を統合されたことを示している。第一fMRI実験では、方向一致条件特異的に左小脳が活動することが明らかになった。さらにこの左小脳は方向一致条件のときにのみ、反対側(右)頭頂皮質、および視覚有線外野と活動を連関させることが分かった。第二fMRI実験では左小脳のほぼ同じ領域の活動が被験者の手運動錯覚量と有意に相関した。 手の運動感覚情報と視覚情報の統合は左小脳が反対側大脳皮質と連関することで行われ、さらにこの左小脳が統合された手運動知覚の計算に関与することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)