2006 Fiscal Year Annual Research Report
心理物理および脳イメージング法によるヒト形態知覚の双方向的情報処理経路の研究
Project/Area Number |
05J02088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
番 浩志 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 形態知覚 / 低次視覚野 / フィードバック / fMRI / レチノトピー |
Research Abstract |
(1)左右(そして上下)に分断された視野の表象を越えて生じる視覚的文脈効果に関する脳機能イメージング(functional magnetic resonance imaging ; fMRI)研究を英語論文にまとめた。 私たちは視野のどこに物体が呈示されても即座にその物体の全体像を知覚できるが、物体の脳内表象は視野位置に依存して劇的に変化する。特に左右視野をまたいで呈示された物体に対しては、その視野像は左右の大脳半球に分断されて入力されるため、安定した知覚を実現するためには分断された情報を統合しなければならない。この脳内視野統合プロセスに関しては、従来高次の視覚野のみが関与すると考えられてきたが、私たちの研究結果はこの通説に反し、フィードバック信号によって非常に早い段階(初期視覚野のレベル)で左右に分断された視覚像が統合されていることを明らかにした。 (2)ヒト大脳低次視覚野が形態情報の処理、特に遮蔽された表面の知覚的補完(アモーダル補完)に果たす役割をfMRI法で詳細に検討し、論文執筆を行った。 私たちは日常様々な物体を目にするが、自然風景の中では物体同士が重なり合っているため、各々の物体はその一部しか網膜に投影されない。よって、各物体の全体像を知覚するためには、隠れて見えない部分を「推測」しなければならない。この遮蔽問題は、日常生活を送る上で視覚システムが解決しなければならない機能的にも生態学的にも非常に重要な問題である。では遮蔽問題はヒトの脳のどこでどのように解決されているのか?先行研究により、高次の視覚野LOCでは遮蔽された物体に対しても物体の全体表象が完成されていることが明らかになっているが、LOCに至る過程でどのように遮蔽された部分が補完されるのかは明らかではなかった。私たちは、fMRI法を用いた脳イメージング実験により、遮蔽問題が単純な「推測」によって解決されているのではなく、低次視覚野でトポグラフィックな補完を伴って解決されていることをヒトの脳で初めて明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Toward a common circle : interhemispheric contextual modulation in human early visual areas2006
Author(s)
Ban, H., Yamamoto, H., Fukunaga, M., Nakagoshi, A., Umeda, M., Tanaka, C., Ejima, Y.
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Journal Title
The Journal of Neuroscience 26(34)
Pages: 8804-8809
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