2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト-ブタの関係性からみる人間の家畜への態度とその位置付け
Project/Area Number |
05J02089
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
比嘉 夏子 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 文化人類学 / 民族誌 / トンガ王国 / ポリネシア / 豚 |
Research Abstract |
本年度前期は調査地の言語であるトンガ語の習得に主眼を置き、国内での研究活動に専念した。7月にはNGO団体での講演活動をおこない、研究者のみならず広く社会一般の方々に、これまでの研究成果を地域研究の観点から発表させていただいた。また、出版物として、『フィールドワークへの挑戦』[菅原2006]のうちの一章、「生きものを屠って肉を食べる-私たちの肉食を再考する試み」を執筆し、現在進めているトンガにおける豚飼養研究の基礎ともなった、沖縄の豚肉食文化研究の成果を記した。2005年12月初旬から2006年2月初旬にかけては、トンガ王国でのフィールドワークと、ニュージーランドでの資料収集を行った。トンガでの調査は、キリスト教国家であるこの国において、クリスマスから年頭にかけて開催される各種教会行事を参与観察することが目的であった。調査中はそれら行事への参加と参加者へのインタビューに専念すると共に、各世帯における豚飼養に関する基礎データの収集も並行して実施した。そこから得られたデータは、トンガの人びとがどのように豚を評価しているのか、その財として、家畜としての意味を知るための重要な手がかりとなった。また、豚という存在を立脚点として、トンガにおいて盛大に繰り広げられる贈与交換を理解し、総合的な民族誌を書き上げる展望を開くことができた。ニュージーランドのオークランド大学ではトンガ、ポリネシア関連の貴重な文献資料を入手し、精読中である。これら一連の調査の成果発表は、次年度6月開催の文化人類学会での発表、また日本オセアニア学会学会誌"People and Culture in Oceania"に現在投稿準備中である。そして現在は、本年度の成果を踏まえ、次年度の長期フィールドワークに向けての計画を進めている。
|