2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト奥行き知覚過程における多重性に関する脳機能イメージング法による研究
Project/Area Number |
05J02093
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 哲也 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 奧行き知覚 / 立体運動効果 / 運動視差 / 空間的注意 / 機能的MRI / ニューロイメージング |
Research Abstract |
多重的な手掛かりの協調によって達成される奥行き知覚の内、運動手掛かりによる奥行き知覚について空間的注意との関わりに着目したfMRI実験・解析を行った。視覚刺激には立体運動効果(SKE)を利用した3種類の奥行き刺激(SKE刺激)を使うことで、空間的注意との比較を容易にした。実験の結果、MT+、LO、V3Bにおける全SKE刺激に対する顕著な賦活、頭頂間溝の背側(DIPS)やV3A、V7、V9を含む腹側(VIPS)に沿った領域、前頭眼野(FEF)におけるSKE刺激による部分的・変則的な応答が観測された。V1、V2、V3といった低次視覚野では刺激布置に依存した活動が見られた。また、奥行きを生じない空間的注意に関する統制実験において、DIPSとFEFを中心とした有意な応答が観測された。 これらの結果から、SKEにおける奥行き情報の計算において重要な役割を担っているのはMT+、LO、V3Bといった運動・形態知覚との関与が深い領域であること、SKEによって知覚される物体全体の構造・運動の計算を行っているのはDIPSに沿った領域であること、VIPSに沿った領域が両者の中間的な振る舞いをしていること、低次視覚野はSKEに直接的には関与していないことが考えられた。以上のことは、脳が複数の知覚モジュールの総体として階層的・並列的に機能していて、それらの協調・統合の結果として運動による3次元構造知覚が達成されていることを示唆させるものである。
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