2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラプラシアンのスペクトラル密度関数を用いて、多様体とその基本群を研究する。
Project/Area Number |
05J02105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾國 新一 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ラプラシアン / 離散群 |
Research Abstract |
言葉を準備して,考えている問題と得られた結果について述べる.Gを離散群,BGをGの分類空間,EGをBGの普遍被覆空間とし,さらにC_*(EG)をEGのCW鎖複体,その境界写像をc_pと書く.このとき,C_*(EG)は右ΖG加群であることに注意して,C_*^(2)(EG):=C_*(EG)【cross product】_<ΖG>l^2(G)と定義する.BGが有限型のときには,C_*(EG)が右ΖG加群として有限生成で自由であるから,C_p(EG)【cross product】_<ΖG>CGの基底であるセルたちを正規直交基底とする内積を入れることで,この完備化としてC_p^<(2)>(EG)をヒルベルト空間とみなせる.また,c_pはC_p^<(2)>(EG)上に拡張しておき,同じ記号を使う.このとき,ラプラス作用素がΔ^c_p:=c^*_pc_p+c_<p+1>c^*_<p+1>として定義される.さらに,このスペクトラル密度関数が群フォンノイマン代数とそのトレースを用いて,F^Δ_p(G)(λ):=tr_<N(G)>E^<Δ^c_p>_λ)と定義される.考えたいことは,BGが有限型のとき,λ=,0の近傍でのF^Δ_p(G)(λ)のふるまいはGの擬同型に関して不変かどうかということである.今回,アメナブル群の場合には正しいことを示すことができた.また,閉多様体の普遍被覆多様体上のラプラシアンのスペクトルや群のケーリーグラフ上のランダムウォークなどに関してのいくつかの応用を与えた.
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