2006 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論から導かれる、世代構造とフェルミオンの質量、混合角の起源について
Project/Area Number |
05J02131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 圭次郎 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超弦理論 / 超対称性 / D-brane / フレーバー |
Research Abstract |
超弦理論の低エネルギー有効理論としての標準模型あるいは拡張としての超対称模型の実現の可能性を探るために、ヘテロ弦理論において10次元時空から4次元時空と6次元空間へのコンパクト化された場合の幾何学とそのゼロモードスペクトルについて調べた。超弦理論の摂動論的表現として、6次元コンパクト空間の構造が我々の世界の粒子の種類や数、その相互作用の構造を決定する。つまり、なぜ素粒子が3世代のクォークとレプトンから構成されているのかという根源的な問題へのアプローチを提供することになる。 我々の研究では、6次元空間がオービフォルドである場合についてこれまでに調べられてきた模型以外の新しい幾何学が存在することを示し、そのスペクトルと湯川相互作用について考察した。まずZ2xZ2オービフォルドを2次元トーラス3つの直積T2xT2xT2としてではなく、より一般的に6次元トーラスT6がLie格子の構造を持つ場合に拡張することでこれまでにない模型を得た(JHEP03(2007)011)。さらにこのLie格子上で許される自己同型写像を体系的に調べることにより、Z2xZ2以外にZ2xZ4、Z4xZ4でも新たなオービフォルドが得られることが分かった(JHEP03(2007)103)。これは6次元トーラス上での可換オービフォルドについてほぼ完全な分類を与えるものと考えられる。現在これを利用した模型構築の研究に取り組んでいる。特に、このトーラスの非自明な構造のために相互作用の形に変化が見られ、これまでの模型では難しかった湯川相互作用の世代間混合的な相互作用持つ可能性もある。これが可能となると低エネルギーでMSSMの質量構造を再現できる可能性があり標準模型の導出に手がかりになると考えられる。弦理論のgeneralized discrete torsion模型との対応や、T-dualによる対称性、free fermionic形式などとの対応で、このオービフォルドと双対関係が現れる可能性もあり、これらのオービフォルドはそれ自体興味深いものである。
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Research Products
(2 results)