2005 Fiscal Year Annual Research Report
K2K長基線ニュートリノ振動実験における電子ニュートリノへの振動モードの探索
Project/Area Number |
05J02137
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平出 克樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニュートリノ / 長基線振動実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は、K2K長基線ニュートリノ振動実験においてミューオンニュートリノから電子ニュートリノへの振動モードの探索を行い、三世代混合の中で唯一未発見であるニュートリノ混合θ_<13>を世界で初めて発見することである。本年度は、K2K実験で収集された全データを用いて、このモードの探索を行った。その結果、ミューオンニュートリノから電子ニュートリノへの振動による事象は見つからず、振動パラメータの上限値として90%信頼度でsin^2 2θ_<μe><0.13という結果を得た。 この振動モードの探索においては、中性カレント1π^0生成反応が主なバックグラウンドとなる。この中性カレント1π^0生成反応に関しては、過去の実験データが少なく、反応断面積や生成されるπ^0中間子の運動量分布に大きな不定性があり、振動モードの探索際の系統誤差が大きくなってしまっている。そこで、K2K実験の前置検出器として使用していたSciBar検出器を米国フェルミ国立研究所のニュートリノビームラインへ移設し、ニュートリノ反応の詳細設定行う実験を計画し、採択された。この実験が実現すればK2K実験においてSciBar検出器を用いて収集されたデータの約2.5倍の統計量で高精度の測定が可能になる。また、本実験は次期長基戦ニュートリノ振動実験であるT2K実験に対しても貢献すると期待されている。現在、2006年秋の実験開始に向けて準備を行っている。
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