2006 Fiscal Year Annual Research Report
K2K長基線ニュートリノ振動実験における電子ニュートリノへの振動モードの探索
Project/Area Number |
05J02137
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平出 克樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニュートリノ / 長基線振動実験 |
Research Abstract |
本研究は、昨年度、K2K実験の前置検出器として使用していたSciBar検出器を米国フェルミ国立研究所(FNAL)のブースターニュートリノビームラインへ移設し、ニュートリノ反応の詳細測定を行うSciBooNE実験(FNAL E-954)を計画し、採択された。 この実験の目的は、長基線ニュートリノ振動実験において重要となる1GeV領域のニュートリノ-原子核反応の反応断面積を精密に測定することである。長基線ニュートリノ振動実験においてミューオンニュートリノから電子ニュートリノへの振動モードを探索する際には、中性カレント1π0生成反応が主なバックグラウンドとなる。この中性カレント1π0生成反応に関しては、過去の実験データが少なく、反応断面積や生成されるπ0中間子の運動量分布に大きな不定性があり、振動モードの探索の際の系統誤差が大きくなってしまっている。本実験は、K2K実験においてSciBar検出器を用いて収集されたデータの約2.5倍の統計量で高精度の測定が可能となり、さらには次期長基線ニュートリノ振動実験であるT2K実験に対して良いインプットを与えることを目指している。 本年度は、SciBooNE実験の準備を進めてきた。2006年7月に検出器をフェルミ研究所に輸送し、検出器に使用する光ファイバー等の品質チェックを行った後、同年11月より約半年間かけて検出器の建設を行ってきた。2007年3月から検出器のコミッショニングを開始し、現在検出器の動作確認および、較正用の宇宙線データの収集を行っている。本年4月に検出器を実験ホールに移動させて、5月よりニュートリノビームデータの収集を開始する予定である。
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Research Products
(2 results)