2006 Fiscal Year Annual Research Report
改良型4π検出器の開発によるシータ粒子の光生成とそのパリティの解明
Project/Area Number |
05J02140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中津川 洋平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ペンタクオート / SPring-8 / LEPS / Time Projection Chamber / ドリフト速度 / 拡散係数 / 位置分解能 |
Research Abstract |
昨年度完成予定であった4π検出器Time Projection Chamber (TPC)は今年度ようやく完成したが、現在SPring-8/LEPSではペンタクオークΘ+と思われるピークを再確認することを最重要課題とし、過去のデータを再解析するとともに、統計量を増すため過去に行われた液体重水素標的を用いた実験を再び行っている。そのためこのTPCを用いた実験は早くとも今秋からスタートする予定であり、計画よりも遅れることとなった。しかしながら現在行われている実験は本研究課題にとって非常に重要であり、本研究員も積極的に参加し、実験のセットアップやデータ収集を行っているほか、スペクトロメータの較正の一部を担当している。また、TPCに関しても、宇宙線および逆コンプトンγ線と固体標的を用いていくっかの性能試験を行った。TPCに磁場をかけて行った宇宙線、γ線を用いた実験のデータは現在解析中であるが、磁場をかけていない状態で行った宇宙線を用いた実験のデータを解析した結果、荷電粒子がTPC中を通ったときにできる遊離電子のドリフト速度は52mm/μs、拡散係数は513μm/√<cm>であることがわかった。これはシミュレーションや既に稼動している他のTPCと矛盾しない値である。また、ドリフト方向(Z方向)の位置分解能は平均で758μm、XY平面内の位置分解能は、ドリフト距離によって変化し326〜742μmとなったが、XY分解能については磁場をかけることで平均で260μmまで向上することが見込まれる。これは要求される性能(300μm以下)を満たす。この結果について2007年3月、日本物理学会において発表を行った。
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