2006 Fiscal Year Annual Research Report
高赤方偏移における超新星の発生頻度と宇宙の星形生史に関する観測的及び理論的研究
Project/Area Number |
05J02143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
織田 岳志 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超新星爆発 / 星形成史 / 可視光サーベイ / 観測的宇宙論 |
Research Abstract |
すばる望遠鏡に搭載されている主焦点高視野カメラで得られていたデータを解析し、この結果、約200個の超新星の候補天体を見つけることに成功した。これまでの研究で得られている超新星サンプルは、数十個のレベルであり、しかも近傍の超新星が多かった。今回の解析で得られたものは、数でも数倍になり、また、このサンプルに含まれている超新星のほとんどは、赤方偏移が0.5をこえる遠方で起こった超新星であると期待されており、質の面でも世界に類をみないものとなっている。また、今回の得られた超新星の等級分布と、研究員1年目に取り組んでいたモデルから計算される理論的な期待値とを比較し、統計的な議論をすることにより、超新星の発生頻度の宇宙論的な進化や、宇宙の星形成史にたいして新しい制限を加えることに成功した。特に、今回の方法で得られた宇宙の星形成史に対する制限は、今までに主に行われてきていた方法と全く独立した方法で得られたものであり、非常に大きな意味をもつものである。 さらに厳しい制限、また詳細な議論を行うために、共同研究者から新しいデータを提供してもらい、その解析を行い、超新星のサンプルの数を増やすことを試みた。新しいデータの解析では、超新星の母銀河の色を用いて赤方偏移を求め、さらに詳しく議論を行っている。この結果、さらに宇宙の星形成史に対する制限を厳しくすることができ、観測データと理論モデルからの期待値にずれがある可能性が高いことが示唆され、理論モデルに何か不備があり、大幅な改良が必要かもしれないという結論に至っている。現在、データの解析や理論モデルとの比較をさらに詳細に行い、結論の強化を図り、さらにこの観測データや他の観測結果を矛盾無く説明できる新しい理論モデルの構築にも挑戦している。
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