2006 Fiscal Year Annual Research Report
完新統デルタ・サクセッションの100年オーダーでの3次元発達過程の解明
Project/Area Number |
05J02148
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 智之 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | デルタ / 完新統 / 堆積速度 / ボーリング・コア / 高密度時間分解能 / 放射性炭素年代 |
Research Abstract |
本年度は,地下岩相の3次元可視化ソフトの運用と昨年度末に掘削が完了した新規のボーリング・コアの観察を中心に行った. 3次元可視化は市町村保有の地盤調査用のボーリング調査のデータを用い,N値を読み取ってそれを表現するものと,私のこれまでのボーリング・コアによる堆積相区分を当てはめてその境界面を表現するものの2種類を作成した.その結果,デルタの地下構造をデジタルデータとして取り扱うことが可能になり,前進速度の計算に必要な体積の見積もりが容易かつ細部にわたって考察できる状態になった.この結果は8月の国際堆積学会にて口頭発表を行った. 新規のボーリング・コアの観察については5本合計約70mに対し岩相記載,年代測定を終えた.結果の主な新知見としては,埋没谷の中心軸でも側方でも鉛直方向への堆積速度は変わらないこと,側方と最下流地点においてはデルタフロントに相当する砂体が薄いこと,の2点である. 側方で砂体が薄いのは,一般に波浪などの営力が中心よりも弱いからという"同時異相"の関係で説明されている.しかし,高密度の年代値を基に形成のタイミングを見ていくと,むしろ同時異相ではなく,単純に埋没谷地形に従って泥が埋積しているために砂が堆積する空間が薄くなっていたからという"堆積空間による制限"の方が現象をよく説明できる.最下流地点でデルタが薄くなることもデルタフロントが到達するまでの時間が上流地点よりも長いためであるとして同じように説明できることがわかった.この"堆積空間による制限"は波浪,潮汐作用の弱いデルタに作用するデルタ地下形態決定要素として捉えている.この成果は2007年3月末の日本堆積学会にて発表予定である. また,粒度分析についても半分ほど終え,デルタフロントの砂体が3種類にわけられるという予察を得た.
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Research Products
(1 results)