2006 Fiscal Year Annual Research Report
断層調査・変形実験・シミュレーションの融合による沈み込み帯の地震の発生機構の解明
Project/Area Number |
05J02149
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 博之 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地震 / 断層 / 破壊の伝播 / 摩擦実験 |
Research Abstract |
理論、数値的研究 Heaton(1990)は地震波の解析により、多くの地震破壊がSelf-healing pulse(破壊先端の背後で断層の滑りがストップする)のモードで伝播する事を明らかにした。昨今、地震発生時に相当する高速変位時の断層の摩擦に関する研究が進み、複雑な断層の力学挙動が明らかになりつつある。去年度は断層の高速摩擦時に作用すると考えられている弱化機構の内、多くの場合に起こっていると考えられる微視的アスペリティの閃光発熱に伴う弱化(Flash heating)と、間隙水の熱的膨張による有効垂直応力の減少(Thermal pressurization)を組み込んだ計算を行い、また理論的考察により、Self-healing pulseの起こる条件を明らかにした。 Flash heatingは、高速変位時に非常に大きな断層の強度低下を引き起こすと考えられている。そのため、有効垂直応力が高い場合には、Self-healing pulseを起こすには初期の断層面の勇断応力は非常に低くなければならない。また、Self-healing pulseが発生する初期勇断応力の最大値は断層岩の水理学的物性値に影響される事がわかった(断層岩の透水性が高い方が高い)。 今回導出したSelf-healing pulseの判定条件は、初期に与える擾乱のサイズに依存する。天然に適用するにはまだ課題が存在するが、地震破壊初期の破壊のサイズが大局的な破壊の伝播に影響を与える可能性を本結果は示唆している可能性がある。 実験的研究 花折断層の断層露頭から採取した断層ガウジの摩擦構成則をまとめた。論文は近々投稿の予定である。また、二軸試験機を用いた実験結果に対する最小二乗法フィッティングに対する試験機のバネ定数の不確かさの影響を調べた。この2つの論文は近々投稿の予定である。
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