2005 Fiscal Year Annual Research Report
液体分子線標的へのイオンビーム照射における二次粒子生成過程の研究
Project/Area Number |
05J02161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金田 実 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオンビーム / 液体分子線 / エネルギー損失 / 二次イオン / 二次電子 |
Research Abstract |
1.エネルギー損失 液体エタノール標的に高速陽子線を照射し、透過粒子のエネルギー損失スペクトルを透過粒子の散乱角度毎に測定することで、液体中での高速陽子線のエネルギー損失および角度拡散に関する新しい知見を得た。まず、Moliere多重散乱理論を液体分子による散乱現象に始めて応用し、Moliere多重散乱理論により液体中でのイオンビームの発散を評価し得ることを見出した。さらに、標準的な阻止断面コードとして用いられているSRIM2003は液体エタノールの持つ阻止断面積を過小評価している可能性が明らかになった。今後は陽子線のエネルギー,標的厚さなどを系統的に変化させ、詳細に調査する予定である。 2.二次粒子測定 液体エタノール標的に高速陽子線を照射したときに発生する二次イオンを飛行時間測定法により質量分析した。懸案である質量分解能の改善のため、まず二次イオンの引き出し部を平行平板型からテーパー型に変更した。また、イオンビームの幅を液体分子線の直径と同程度の20mmに整形することで液体標的と相互作用しない成分を可能な限り除去することを試みた。さらに、透過イオンのエネルギーを粒子検出器の波高分析することで、液体標的と相互作用を起こした粒子のみを選別するシステムを構築し飛行時間二次イオン質量分析測定を行った。しかし真空度に起因すると考えられるバックグラウンドにより質量分解能は大きくは改善されず、差動排気システムの再構築が急務であると考えられる。 3.二次電子測定 二次電子測定の準備として、気体アルゴン標的に対して高速ヘリウムビームを照射したときに発生する二次電子のエネルギー測定を試み、平行平板型電子分光装置の動作特性,消磁効果の確認を行った。 以上の結果について、日中交流科学シンポジウム2005(中国科学アカデミー),日本物理学会第61回年次大会(愛媛大学,松山大学)で講演を行った。
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Research Products
(1 results)