2006 Fiscal Year Annual Research Report
液体分子線標的へのイオンビーム照射における二次粒子生成過程の研究
Project/Area Number |
05J02161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金田 実 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 液体分子線 / イオンビーム / 阻止能 / 二次イオン / 質量分析 |
Research Abstract |
今年度の研究実施状況を(1)液体標的の阻止能測定,(2)液体標的からの2次イオン放出 に大別して記す。 (1)液体標的の阻止能測定 液体エタノール標的に高速陽子線を照射し透過粒子のエネルギー損失スペクトルを透過粒子の散乱角度毎に測定し、液体エタノール標的の高速陽子線に対する阻止能の精密測定追認実験を行った。その結果、標準的な阻止断面積コードとして知られるSRIM2006は液体エタノールの阻止断面積を約9%過小評価していることが分かった。本手法は様々な種類の液体に適用することが出来るため、液体標的の阻止能を精密に測定する有力な手法になると期待される。 (2)液体標的からの二次イオン放出 液体標的に高速荷電粒子を照射したときに生成される二次イオンの生成メカニズムを解明することを目的として、液体エタノール標的に2.0MeV He^+イオンを照射したときに液体標的から放出される二次イオンの飛行時質質量分析を行った。 懸案事項であった質量分解能の改善を-(a)検出器として検出面の大きいマイクロチャンネルプレートを使用することで二次イオンの検出効率を向上,(b)差動排気および検出器周辺の電圧の最適化によりノイズ等を抑制-することで達成した。得られた二次イオン質量スペクトルには分解片イオンの他、プロトン付加エタノールクラスター(正イオンの場合),脱水素化エタノールクラスター(負イオンの場合),エタノールクラスターからのunimolecular reaction生成物であるH_3O^+が含まれていた。これらは液体標的特有の二次生成物であると考えられ、本研究は世界で初めて液体標的に高速荷電粒子を照射した際に放出される二次イオンの質量分析精密測定に成功したと言える。
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Research Products
(1 results)