2006 Fiscal Year Annual Research Report
到達把持運動制御に関する計算理論およびニューラルネットワークモデル
Project/Area Number |
05J02177
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹村 尚大 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 到達把持運動 / 計算論モデル / 視覚と運動 / パントマイム |
Research Abstract |
脳内の運動制御メカニズムは、実際の運動制御のみでなく、振り運動(パントマイム)や運動のイメージ化においても機能しているとされている。本年度は、まず、これまでに提案したモデルの機能である「精度予測制御」が、パントマイム運動の特性も再現できるかどうかを検証した。福井・乾(2004)のパントマイムにおける視覚遮断実験のシミュレーションの結果、パントマイムでは実物体への運動より指間距離最大値が大きくなること、また、パントマイム時の視覚遮断では指間距離最大値が大きくなることが再現された。このシミュレーションにおいては、対象物体の存在しないパントマイムでは対象物体に関する入力情報の精度が低いと考え、物体の視覚入力のノイズを通常より大きくしている。同時に、対象物体の存在しない視覚遮断においても、視野全体の遮断により視覚フィードバックの精度が低下しているという仮定も行っている。このことは、オンライン運動制御においては視野全体が視覚情報の精度に影響を与えていることを示している。 一方、様々な試行錯誤の結果、到達把持運動の到達成分の特性を再現するためには、モデルの予測器が運動終点付近におけるフィードバックの存在を「仮定」している必要があることが分かってきた。これについては完全にモデル化できていないが、到達把持運動のように運動終点において制約が強いような到達運動の場合には、終点のフィードバックをより多く利用できるように、速度ピークが前半に存在するような運動計画が最適であることが示されつつある。 さらに、このように、運動終点におけるフィードバックの存在を操作するような心理実験を実施中である。運動終点ではフィードバックが存在しないことを予測可能な場合、フィードバックが存在すると予測される場合と比較して、指間距離最大値が大きくなることを示すのがこの実験の目的である。
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