2007 Fiscal Year Annual Research Report
到達把持運動制御に関する計算理論およびニューラルネットワークモデル
Project/Area Number |
05J02177
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹村 尚大 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 到達把持運動 / 計算論モデル / 統計的予測制御 |
Research Abstract |
これまでに提案した到達把持運動の制御モデルは、到達把持運動に含まれるという二つの制御成分のうち、把持成分(指の開きの制御)にのみ注目したものであった。そこで、本年はもう一つの制御成分である到達成分(手の移動の制御)についても、精度予測制御の観点からモデル化を行った。手の移動の運動指令にはエネルギー消費と運動ノイズという二つの効果が伴うが、運動全体の実行におけるエネルギー消費と最終的な運動誤差の二つを最小化するような運動指令系列を生成する制御モデルを提案した。このとき、最終的な運動誤差は、運動終了までに得られる感覚フィードバックの精度に関する予測(期待)も考慮に入れて計算されるとした。これは、現在利用できている感覚入力の状態が運動終了まで維持されるのか、または、視覚遮断などによる感覚入力の変化が予測されるのかが、最終的な運動誤差の予測に考慮されていることを意味している。モデルによる.シミュレーションの結果、エネルギー消費より運動誤差に対する重みが大きいほど、手首の移動速度のピークが運動の前半に現れる運動特性を再現した。この特性は、精度が要求される到達運動や、通常の到達把持運動において見られるものである。さらに、この到達成分の運動制御モデルと前年度までに提案した把持成分の制御モデルを統合し、精度予測による到達把持運動の制御モデルを完成させた。まずは、到達成分の出力結果をこれまでの把持成分の入力としてそのまま利用することで、2つの成分が統合できることを示した。さらに、運動終了までの感覚フィードバックの精度を予測した運動誤差分散推定の考え方を把持成分にも導入し、統一的な到達把持運動の制御モデルを完成させた。このモデルにより、到達把持運動における感覚入力と運動出力の関係がシステマティックに記述された。今後、更にこのモデルおよび運動精度予測制御のメカニズムが検証されることを期待している。
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Research Products
(2 results)