2006 Fiscal Year Annual Research Report
強い重力場における物理素過程とその観測的検証に関する研究
Project/Area Number |
05J02193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川中 宣太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ブラックホール / 降着円盤 / ニュートリノ / 磁気流体 / ガンマ線バースト / 安定性 |
Research Abstract |
ガンマ線バーストの中心エンジンのモデルとしては、星程度のブラックホールに毎秒太陽質量程度のガスが落ち込む降着円盤といったものが有力視されている。このような円盤は非常に高密度かつ高温となるため、光子による冷却はほとんど効かず、代わりに移流やニュートリノ放射による冷却が卓越すると考えられる。我々はそのような円盤の構造を、ニュートリノ放射、電子・核子の縮退、原子核の解離、レプトン数保存といった物理をできるだけ詳細に取り入れて解きなおした。特に原子核の解離が起こる半径、ニュートリノ冷却が効きはじめる半径、ニュートリノに対して厚くなる半径において円盤の安定性を調べ、このような円盤においては熱的な不安定性もsecularな不安定性も存在しないことを確かめた(Kawanaka and Mineshige 2007)。 また、このような大質量円盤における磁気流体不安定性の成長についても考察を行い、円盤内縁付近で不安定性が成長しにくく、したがって角運動量輸送が効率よく行われなくなる可能性を指摘した。これにより、円盤内縁部に外側から落ちてきたガスが集積し、やがて自己重力不安定となると一気に中心ブラックホールに向かってガスが落ち込み、再び外側からガスが集積し、という間欠的な質量降着が起こることが期待され、これがガンマ線バーストの即時放射の激しい光度変化に対応しているという仮説を提唱した(Masada et al. 2007)。
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