2006 Fiscal Year Annual Research Report
高速多重極法による境界要素法の高速化に関する基礎的研究及び破壊力学への応用
Project/Area Number |
05J02202
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大谷 佳広 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高速多重極法 / 境界要素法 / 周期境界値問題 / Maxwell方程式 / Helmholtz方程式 / 波動解析 / フォトニック結晶 / ストップバンド |
Research Abstract |
本年度は、波動問題の周期境界値問題における高速多重極法の開発に取り組んだ。周期境界値問題は工学的に重要な問題であり、破壊力学の分野においては、均質化法を用いて微視的構造が巨視的挙動に与える影響を調べる際に用いられる。とりわけ、動的問題における周期境界値問題は、破壊力学以外にも幅広い工学分野で応用されている。特に、近年、フォトニック結晶と呼ばれる構造体が注目を集めたことにより、波動問題における周期境界値問題の重要性はますます高まっている。このような背景を踏まえて、本年度では2次元Helmholtz方程式における周期境界値問題、ならびに3次元Maxwell方程式における周期境界値問題における高速多重極法(periodic FMM)を開発した。高速多重極境界要素法で波動問題における周期境界値問題を扱った先行研究は殆どなく、非常に新規性が高い。 2次元Helmholtz方程式の問題においては、1次元的に周期配置されたクラック群における波動散乱問題を扱った。数値解析によってクラックの開口変位、クラックから十分離れた遠方場、ならびにエネルギー透過率を求めた。数値解析結果を先行研究あるいは解析解と比較したが、良好な一致を見た。さらに、周期クラック群の問題においても、フォトニック結晶の分野で著名な現象である、ストップバンドや局在モードが生じることを示した。内点計算を行ってクラック周りの波動場を求めることにより、局在モードが生じるメカニズムを明らかにした。 3次元Maxwell方程式の問題においては、2次元的に周期的な構造を有する誘電体による散乱問題を扱った。本問題においても数値結果を解析解、あるいは先行研究と比較したが、良好な一致を得た。
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