2006 Fiscal Year Annual Research Report
STM-BH法によるドーパントの直接観察と界面空間電荷層の原子レベル評価
Project/Area Number |
05J02204
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 賢吾 京都大学, 国際融合創造センター, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 半導体 / ドーパント / STM / LBH / ポテンシャル / 電子状態 |
Research Abstract |
本研究の目的は、半導体中の不純物原子(ドーパント)の分布、及びその静電ポテンシャルを原子レベルでScanning Tunneling Microscope(走査トンネル顕微鏡:STM)を用いて評価することである。STMにより半導体表面のドーパント分布を得るとともに、LBH(局所トンネル障壁:Local Barrier Height)を計測することを通してドーパント原子の静電ポテンシャルを求めている。そして、ドーパント原子の区別を原子分解能で得ることにより、STMのナノスケールデバイスへの応用を目指している。今年度は、STM-LBHによる実験を液体窒素温度(<80K)で行うとともに、STM探針を加熱することにより、探針の汚染を防ぐことを試みた。この結果、非常に安定にSTM-LBHの実験を行うことができるようになり、前年度よりも精密な計測を行えるようになった。 実験対象となる試料はZnドープp型GaAs(110)、及びSiドープn型GaAs(110)である。それぞれの試料においてバイアス電圧を0.1Vずつ、1.0V^-2.6V、及び-1.0V^--2.6V程度まで変化させつつ、ドーパント原子が存在する場所と清浄GaAs表面でLBHを計測し比較を行った。この結果、アクセプタ原子が負に帯電しその結果LBHは上昇するという単純な予測とは異なり、p型GaAsにおいて、ドーパントサイトのLBHは必ずしも清浄表面と比べて上昇する訳ではないことが確認できた。また、負のバイアス電圧においては、清浄表面のバイアス電圧依存性は2次曲線に近い物となり、さらにドーパントサイトのバイアス電圧依存性は清浄表面の曲線がバイアス電圧正の方向へずれたものとなった。このずれがドーパント原子による局所的なバンドベンディングを表しているのではないかと考えている。
|