2006 Fiscal Year Annual Research Report
配位結合性高分子骨格を用いた新規導電性錯体の開拓研究
Project/Area Number |
05J02207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽根田 剛 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ネットワーク錯体 / 直接観察 / ホストーゲスト / X線結晶構造解析 / 不安定イミン / 結晶相脱水反応 / ダイナミックス |
Research Abstract |
自己組織化ネットワーク錯体は、骨格を構成する成分を変えることにより細孔の性質やサイズを制御でき、合理的な設計が可能である。本研究では、その応用としてネットワーク錯体を結晶化後、細孔を修飾することにより、不安定な化合物の生成を試みた。具体的には、アミノ化細孔を持つネットワーク錯体内にアセトアルデヒド類を取り込み、単結晶相での不安定イミンの生成および観測に成功した。 細孔性ネットワーク錯体[(ZnI_2)_3(tpt)_2(1)]_n(3);(1=1-アミノトリフェニレン;tpt=トリス(4-ピリジル)-1,3,5-トリアジン)の赤色単結晶を、希釈したアセトアルデヒド溶液に室温で24時間浸すことで、黄色単結晶[(ZnI_2)_3(tpt)_2(2)]_n(4)を得た。X線結晶構造解析を行った結果、反応前後で三次元構造は維持されつつ、アセトアルデヒドイミンが結晶中で安定に生成していることが確かめられた。また、これらのネットワーク錯体には三角形のチャンネルと四角形のチャンネルがある内、反応後のイミンは三角形のチャンネル内に観測された。反応前、錯体3ではアミノ基が四角形のチャンネルを向いていた事を考慮すると、反応前後でトリフェニレン分子が回転していることが示唆された。そこで、同一結晶を用いた、反応前後のX線観察により、トリフェニレン分子が回転していることが明らかになった。 本研究では、アミノ化細孔を持つネットワーク錯体内にアルデヒド類を取り込み、単結晶相での不安定イミンの生成および観測に成功した。さらにin situでの反応により、トリフェニレン分子のダイナミクスを明らかにできた。これらは、ネットワーク錯体を結晶化後、修飾することにより初めて達成できたと言える。今後は、この修飾手法を用いて、ネットワーク錯体内での、反応活性点や不安定中間体の生成、および観測などを検討していく予定である。
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