2005 Fiscal Year Annual Research Report
配位結合性高分子骨格を用いた新規導電性錯体の開拓研究
Project/Area Number |
05J02207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽根田 剛 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 配位結合性高分子錯体 / ゲスト交換反応 / フォトクロミズム / X-線結晶構造解析 / サリチリデンアニリン |
Research Abstract |
平面性三座配位子2,4,6-tris(4-pyridyl)triazine(L)とZnI_2から構成される配位結合性高分子錯体[(ZnI_2)_3L_2・m(C_6H_5NO_2)]n(1)は、単結晶状態を保ったままゲスト交換反応が進行することが見出されている。本研究者は、このゲスト交換反応を用い、配位結合性高分子錯体中に機能性分子を取り込むことによって新規な機能性材料の開拓を試みた。対象にする機能性としては、導電性に限らず、磁性、光応答性などを扱った。特に光応答性分子としては、有機フォトクロミック分子で著名なサリチリデンアニリン類に注目し、配位結合性高分子錯体内への包接を試みた。 サリチリデンアニリン類は結晶状態でねじれ形および平面型配座をとるものが知られている。一般的に、前者はフォトクロミズムを示すが、後者は示さない。本研究では、平面型誘導体を配位結合性高分子錯体内への取り込みによりねじれ型配座に変化させ、フォトクロミズムを観測することに成功した。 配位結合性高分子錯体(1)の単結晶を、サリチリデンアニリン誘導体N-5-chlorosalicylideneaniline(2)で飽和したシクロヘキサン溶液に浸し、ゲスト交換により包接結晶(1)・(2)を得た。この結晶に150Kで光照射(超高圧水銀灯、366nm)したところ、黄色から赤色への単結晶フォトクロミズムが観測された。150Kで光照射前のX-線結晶構造解析を行ったところ、(1)の細孔内に(2)は独立な2分子が観測され、その内1分子はねじれ形(二面角φ=31°)であった。(2)単体の単結晶中での二面角は7°である。包接により(2)の配座が変化し、クロミック特性が変化したと考えられる。 今後は他の機能性についても検討していく予定である。
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