2007 Fiscal Year Annual Research Report
配位結合性高分子骨格を用いた新規導電性錯体の開拓研究
Project/Area Number |
05J02207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽根田 剛 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ネットワーク錯体 / フォトクロミック / post-modification / 不安定中間体 / イミン / その場観察 / ホスト-ゲスト / X線構造解析 |
Research Abstract |
配位空間の特異性を調べるため、有機クォトクロミック分子をネットワーク錯体内に取り込み、分子修飾なしで物性を制御することを検討した。具体的には、有機フォトクロミック分子として代表的なサリチリデンアニリン類を研究対象とした。サリチリデンアニリン類は結晶状態でねじれ形および平面型配座をとる誘導体があり、前者はフォトクロミズムを示すが、後者は示さないことが知られている。本研究では、平面型誘導体をネットワーク錯体内に包接することによりねじれ型配座に変化させ、フォトクロミズムの発現に成功した。これより、同一分子を用いて構造と物性の相関を解明できた。さらに、フォトクロミズムの変化量をゲスト交換溶媒によって制御することに成功した。今後は、ネットワーク錯体内の流動的な空間を利用して、様々な有機機能性分子の物性制御が可能になるものと考えられる。 単結晶相での細孔内面修飾(post-modification)を検討した。その手法を利用レて、通常観測できない不安定種の生成と直接観測を検討した。アセトアルデヒドのイミン体は大気下で加水分解されやすく極めて不安定である。本研究では、アミノ化細孔を持つネットワーク錯体内にアセトアルデヒドを取り込み、単結晶相反応による不安定イミンの生成およびその直接観測に初めて成功した。縮合反応は定量的に進行し、アセトアルデヒドのイミン体が疎水性空間内で安定に生成していることが判明した。さらに、その反応前後をX線構造解析によって直接観察することで、ネットワーク錯体の骨格にダイナミクスが存在することを見出した。このダイナミクスは、錯体骨格の一部がπ-p stackによる空間を介した相互作用によって形成されているため可能になったと考えられる。今後は、本手法を利用して、様々な不安定種が観測可能になると考えられる。
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Research Products
(4 results)