2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウムの潜在的特性の発現を指向した不斉触媒の設計と炭素骨格変換反応の開発
Project/Area Number |
05J02210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大松 亨介 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルミニウム / ルイス酸 / 1,2-転位反応 / カルボニル化合物 / 位置選択性 |
Research Abstract |
アルミニウム化合物が持つ高いルイス酸性と親酸素性に着目し、その性質を最大限を利用した新規炭素骨変換反応の開発を目指し、今年度は以下のような研究に従事した。 前年度に開発した非対称型α-シロキシアルデヒドの1,2-転位反応において得られた、高い位置選択性発現の仕組みを究明すべくさらなる研究を行い、転位生成物の二つの構造異性体の生成比が、用いるアルミニウム触媒のルイス酸性と反応条件次第で大きく変化することを発見した。種々検討した結果、トルエン溶媒中、ジメチルアルミニウムクロリドのような比較的弱いアルミニウムルイス酸を用いる条件と、ジクロロメタン中、ビフェニル骨格の配位子を有する非常に電子不足で強力なアルミニウムルイス酸を触媒とする条件とを使い分けることで、異なる構造異性体を選択的に作り分けることに成功した。さらに、様々なアリール基およびアルキル基を有するα-シロキシアルデヒドに対しても本手法が適用可能であることを明らかにした。 反応機構に関する検証も行うことで、位置選択性の逆転は、転位する置換基の切り替わりが起こることで実現していることを明らかとした。本来極めて高い転位能を有するアリール基よりも、転位能の低いアルキル基が優先的に転位し得るのは意外な結果であるが、これは、反応中間体として想定されるカルボカチオンがアリール基の共役効果によって安定化される結果、実現していると考えられる。実際、アリール基の代わりにアルケニル基のような転位能は高いが安定化効果が低い置換基を有する基質では、位置選択性の逆転が起こらないことが確認された。
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Research Products
(2 results)