2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリンナノマテリアル(リング・シート・チューブ)の開拓
Project/Area Number |
05J02213
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 泰之 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィリン / 縮環ポルフィリン / π共役化合物 / 二光子吸収 / 光捕集アンテナ / ホスト・ゲスト複合体 / 励起エネルギー・電子移動 / 負のアロステリック効果 |
Research Abstract |
縮環ポルフィリン多量体は近赤外領域に強い吸収帯を持つという性質に加え、大きな二光子吸収断面積をもつ化合物群である。縮環ポルフィリン多量体を従来の直線型から2次元型へ展開することは、新しいポルフィリン多量体の創成し、分子構造と二光子吸収特性の性質を明らかにすることが期待される。今回、パラジウム触媒クロスカップリング反応を用いてL型3量体、T型4量体およびX型5量体の合成をおこなった。すでに報告した四角形4量体ではNMR測定から特殊なπ電子系を持つことが示されたが、今回のL型3量体のNMRではそのπ電子系が比較的直線多量体に近いことが示唆された。二光子吸収断面積測定において、直線型、L型、T型を比較したところ、値はL型<直線3量体<T型<直線4量体となり、ポルフィリン数だけでなく分子構造も二光子吸収特性において重要であることが明らかに示された。 環状ポルフィリン8量体(リング)では分子内で超高速励起エネルギー移動が起こることをすでに報告している。ここにエネルギーアクセプターとなるゲスト分子を会合させることにより天然の光捕集アンテナ・反応中心のモデル構築を行った。8量体はピリジルポルフィリンと1:2の複合体を形成し、非常に大きな会合定数を持つこと、また会合が珍しい負のアロステリック効果を持つことを明らかにした。錯体の蛍光スペクトル測定において消光がみられたことから、8量体からピリジルポルフィリンへの光誘起電子移動が予想され、その速度はおよそ(5.4ps)^<-1>と非常に高速であることが見積もられた。
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Research Products
(5 results)