2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小比賀 真吾 Kyoto University, 薬学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | アルキン / 親炭素的ルイス酸 / ヒドロアミノ化反応 / 抗腫瘍性アルカロイド / 天然物合成 |
Research Abstract |
これまでの2年間の研究において、ルイス酸触媒によるイミノ基とアルキンの同時活性化を利用したジヒドロイソキノリン環の効率的合成法を開発した。またアルキンの活性化に有効な金属ルイス酸触媒について、ある程度知見を得ることもできた。そこで本年度はそれらの反応および知見を活かし、ルイス酸触媒によるアルキンの活性化を鍵行程とする天然化合物の全合成研究を行った。現在、臨床試験のphaseIII段階にあるエクテナサイジンに代表されるテトラヒドロイソキノリンアルカロイドファミリーは、有望な抗腫瘍活性を示すことが知られており、またファミリー間で相同性の高い構造を有していることから、その効率的合成法の開発の意義は大きい。今回、アルカロイドファミリーの中から合成ターゲットとしてサフラマイシンBを選択し、(1)ルイス酸触媒によるタンデム反応を利用したジヒドロイソキノリン環の構築および(2)親炭素的ルイス酸触媒による6-エキソ型分子内ヒドロアミノ化反応によるケトピペラジン骨格の構築の2つの合成ルートを立案し合成研究を行った。その結果、1つ目のタンデム反応を利用した合成ルートについては、合成中間体の構造変換が困難な箇所があり全合成への応用は成らなかったものの、検討の過程においてこれまでより穏和で基質一般性の高い反応条件を見出すことに成功した。また2つ目のルートにおいては、6-エキソ型分子内ヒドロアミノ化反応によるケトピペラジン骨格の合成法を開発し、続くNBSを用いた酸化的なフリーデルクラフツ反応によって、重要合成中間体であるビシクロ「3.3.1」骨格へと導き、構造変換を経てサフラマイシンBの形式全合成を達成した。
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