2005 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物の多孔構造形成とナノ構造フォトニクスへの展開
Project/Area Number |
05J02224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 順子 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | チタニア / ゾル-ゲル法 / 光の局在化 / ランダム媒質 / 共連続構造 / 相分離 / マクロ多孔体 / ランダムレーザー |
Research Abstract |
光の波長程度の空間スケールで屈折率(誘電率)がランダムに変化した構造に光が入射すると、通常はその光は散乱されて媒質中を拡散するだけであるが、散乱強度が高くなるにつれて光の伝播、閉じ込め、回帰が起こり、極限的には「光のアンダーソン局在」と呼ばれる光の進行が許されない極限状態へ転移することが知られている。媒質の散乱強度は光の波長領域での媒質の構造と屈折率によって変わる。光の局在状態を実現するには構造の正確な制御と、二相間の大きな屈折率比が必要である。多孔体を用いることで細孔径と気孔率を任意に制御可能であり、構造と散乱強度の系統的な解析が可能となる。本年度はチタンアルコキシドを出発成分として用い、相分離を伴うゾル-ゲル系においてチタニア多孔体を作製・構造制御を行った。 チタニアは屈折率が非常に高いため、散乱媒質として適しているが、出発成分であるチタンアルコキシドは、チタン原子上の部分電荷が大きいため水との反応性が高く、一般にゾル-ゲル系において構造制御を行うことは困難とされてきた。本研究では無機酸を重縮合反応に対する反応抑制剤として用いることで、ゾル-ゲル転移とスピノーダル分解による相分離を並行して誘起し、マイクロメートル領域で揃った細孔径を有するマクロ多孔体を作製できることを見出した。強酸条件化ではチタンアルコキシドは加水分解された後、ヒドロキシル基はプロトン化され正に帯電するため静電的反発により重縮合反応が抑制されると考えられる。また、出発組成によって細孔径は自由に変化可能である。 作製したチタニア多孔体を用いて、コヒーレント後方散乱測定によって光の平均自由行程を測定すると、細孔径が光の波長程度になるに従い光を閉じ込める効果が大きくなり、光の局在化に近づいたと考えられる。
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Research Products
(3 results)