2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物の多孔構造形成とナノ構造フォトニクスへの展開
Project/Area Number |
05J02224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 順子 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | チタニア / ゾルーゲル法 / 光の局在化 / ランダム媒質 / 共連続構造 / 相分離 / マクロ多孔体 / ランダムレーザー |
Research Abstract |
光の波長程度の空間スケールで屈折率(誘電率)がランダムに変化した構造に光が入射すると、通常はその光は散乱されて媒質中を拡散するだけであるが、散乱強度が高くなるにつれて光の伝播、閉じ込め、回帰が起こり、極限的には「光のアンダーソン局在」と呼ばれる光の進行が許されない極限状態へ転移することが知られている。媒質の散乱強度は光の波長領域での媒質の構造と屈折率によって変わる。光の局在状態を実現するには構造の正確な制御と、二相間の大きな屈折率比が必要である。多孔体を用いることで細孔径と気孔率を任意に制御可能であり、構造と散乱強度の系統的な解析が可能となる。これまでにチタンアルコキシドを出発成分として用い、相分離を伴うゾル-ゲル系においてチタニア多孔体を作製・構造制御を行ってきた。本年度は得られた多孔体を用い、多孔体内での光の平均自由行程を求めるため、コヒーレント後方散乱測定、また、相補的な実験として時間分解光子輸送測定を行った。コヒーレント後方散乱測定においては、新しい光学系を構築し、広い角い角度範囲での散乱光強度の測定を行った。また、媒質境界面での反射を考慮することでこれまでより正確に光の平均自由行程を測定することが可能となった。光の局在状態を観測するためには、ドメインサイズのより小さい多孔体の作製、または波長の選択を行う必要があることが分かった。次年度は多孔体の構造、測定系の最適化を行う予定である。 また、得られたチタニア多孔体を液体クロマトグラフィー用カラムとしての利用するために試作を行った。シリカ多孔体をチタニアでコーティングしたものより高い分離性能を示すことが分かった。
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Research Products
(3 results)