2005 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞およびその遺伝子異常を検出するイメージング分子の開発
Project/Area Number |
05J02228
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 久嗣 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光機能性核酸 / DNAメチル化 / 遺伝子変異検出 |
Research Abstract |
本研究では、がん細胞に特異的な遺伝子配列中におけるメチル化シトシン変異塩基を簡便に検出する手法の開発を目指して、ナフトキノン誘導体を導入した人工核酸の光化学反応特性を応用し、DNA内5-メチルシトシン変異塩基の簡便かつ位置特異的な検出法の構築を行った。一般に、遺伝子中のメチル化シトシンはグアニン-シトシンペアが豊富に存在する配列に形成され易いためグアニンが多数存在する配列においても明暸に検出する必要がある。 今年度、様々な遺伝子配列に対応可能な検出系の構築を目指して、DNAオリゴマーの鎖内中央部にナフトキノン誘導体を共有結合で結んだ光機能性核酸を設計・合成し、がん抑制遺伝子配列内5-メチルシトシンの光酸化反応を検討した。合成した人工核酸と5-メチルシトシン塩基を同一鎖内に2つ含むDNA二重鎖の光反応を調べたところ、ナフトキノン部に近接したメチルシトシン部位においてのみDNA切断が確認された。一方で、対応するシトシン残基ならびに近接したグアニン残基でのDNA切断は観測されなかった。これらのことは、光励起されたナフトキノン誘導体と近接した5-メチルシトシンのみが酸化体へ変換され、位置特異的なDNA切断が起こったことを示している。 これらの結果からナフトキノン部の光酸化作用による5-メチルシトシン部位でのDNA切断を応用すれば、遺伝子配列内のメチル化シトシン変異部位を簡便かつ位置特異的に検出し得ることが示された。 今回、メチル化シトシン部位選択的なDNA切断が進行し対応するDNA断片が生成することが明らかになった。今後、本検出系を蛍光シグナル応答による検出系ならびに高感度5-メチルシトシン変異塩基の検出系へと展開するため、既存の遺伝子増幅手法であるPCR法やInvader法、またはデオキシリボザイム等を利用して5-メチルシトシン部位におけるDNA断片の増幅反応を評価する予定である。
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Research Products
(1 results)