2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を用いる新規二酸化炭素固定化反応の開発
Project/Area Number |
05J02242
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 直樹 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 二酸化炭素 / 化学的固定 / ニッケル / 不飽和炭化水 / ニッケララクトン / DBU / アミノ酸 / アミノカルボキシル化 |
Research Abstract |
二酸化炭素の有効利用技術の開発は環境・資源両問題における重要な課題のひとつである。本研究では二酸化炭素の化学的固定によってアミノ酸へと変換することに成功した。1気圧の二酸化炭素雰囲気下、一置換アレン類にニッケル0価錯体およびアミジン塩基であるDBUを作用させたところ、酸化的環化反応によってニッケララクトンが生成した。続いてこのニッケララクトンに求電子的なアミノ化反応剤であるジベンゾイルジアゼンを作用させたところ、アミノ化が進行し、アレンの末端炭素上にアミノ基が、中央の炭素にカルボキシル基が導入されたβ-アミノ酸誘導体が位置および立体選択的に得られた。本反応はエーテルおよびカルボン酸エステル、またフタルイミドなどが共存していても進行することを確認した。また、アレンに加えて、末端アルキンやベンジリデンシクロプロパンでも同様の反応が進行した。アルキンの場合には末端炭素上にカルボキシル基が、内部炭素上にはアミノ基が導入され、Z体のみが生成する。ベンジリデンシクロプロパンにおいては三員環の開裂を伴うことなく反応し、シクロプロパン環上にカルボキシル基が、ベンジル位にアミノ基が導入された。また、得られたアミノ酸誘導体は窒素-窒素結合を持つ。これは2価ヨウ化サマリウムによって切断することができた。この際、低温で処理することによってα,β-不飽和エステルの還元を抑えることに成功した。以上、本研究では二酸化炭素をC1資源として利用し、不飽和炭化水素のアミノカルボキシル化を実現した。この結果は反応性に乏しい二酸化炭素を反応させ、付加価値の高い化合物へと変換できる可能性を示したという点で興味深いと考えられる。
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Research Products
(1 results)