2005 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を用いる新規二酸化炭素固定化反応の開発
Project/Area Number |
05J02242
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 直樹 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 二酸化炭素 / 炭酸固定 / ニッケル / カルボキシル化 / メチレンシクロプロパン / DBU / MTBD / 炭素-水素結合活性化 |
Research Abstract |
常圧の二酸化炭素雰囲気下、メチレンシクロプロパンにニッケルO価錯体とアミン塩基を作用させることにより炭酸固定が進行し、カルボン酸が得られることを見出した。興味深いことに、用いる反応溶媒およびアミン塩基によって異なるカルボン酸が得られた。アミン塩基としてDBUのようなアミジンを用いた場合、酸化的環化反応経由で反応が進行し、トルエン溶媒ではシクロプロパンカルボン酸が得られた。一方、同様にDBUを用いた場合においてもNMPのような極性溶媒中で反応を行うと、中間体として生成したニッケララクトンのβ-炭素脱離が進行し、アクリル酸誘導体が得られた。また、アミン塩基としてアミジンよりも塩基性の高いグアニジンであるMTBDを用いると三員環が開裂した直鎖状のγ,δ-不飽和カルボン酸が得られた。これは上記のDBU塩基の系とは異なる反応機構で進行していると考えられる。すなわち、ニッケル錯体がメチレンシクロプロパンのproximalな炭素-炭素結合間に挿入し、生成したニッケル-sp^3炭素結合間に二酸化炭素が挿入することによって生成したと考えられる。なお、重水素化実験の結果、本反応においてMTBD窒素原子上に存在するメチル基のC-H結合活性化が起こっていることを明らかにした。本研究の成果は二酸化炭素をC1資源として活用したカルボン酸の新しい合成法の開発と同時に、効率的な合成における重要な素ステップとして注目されている炭素-水素結合の活性化を見出した点で有意義である。
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Research Products
(1 results)