2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規阻害剤の合成開発と作用機構研究に基づく呼吸鎖複合体-Iの研究
Project/Area Number |
05J02247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一丸 直哉 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 呼吸鎖酵素 / 呼吸鎖酵素阻害剤 / 活性酸素 / ミトコンドリア / アセトゲニン / 複合体-I |
Research Abstract |
一昨年度までに合成を完了した、水酸化されたbis-THF環部に種々のM体化学を有するΔlac-アセトゲニンの、ウシ心筋ミトコンドリア複合体-1に対する阻害活性を調べた結果、この部分の立体化学が阻害活性に影響を与えることがわかった。それを受けて昨年度は、酵素が厳密に認識していると予想される、この親水性部分の機能を明らかにする目的で、bis-THF環部の構造改変を行った。 まず、bis-THF環の二つの酸素原子を、窒素原子に置き換えることとした。二つの窒素原子がbis-THF環骨格における酸素原子間の距離を保つような「重ね合わせ」を考慮し、まずはピペラジン骨格を導入することに決定し、新たに合成した。これらの化合物群も、Δlac-アセトゲニンの場合と同様に側鎖の疎水性が増すに従って阻害活性も上昇し、一定の疎水性を得たところで最強となり、その阻害強度はΔlac-アセトゲニンに匹敵するものであることがわかった。また、一定の疎水性を越えてさらに側鎖長が増すと、阻害活性は低下した。ここで、水酸基の立体化学が阻害活性に影響を与えなかったことから、水酸基の必要性を疑い、脱酸素化した類縁体を合成し、阻害活性について検討したところ、これらの化合物でも数nMレベルの強力な阻害活性が維持されることを見出し、窒素原子を有する類縁体では、水酸基は阻害活性の発現にとって必須ではないことを明らかにした。 また、エピネフリン酸化法により複合体-1の阻害に起因する活性酸素の発生量がΔlac-アセトゲニンより多いこともわかり、ピペラジン骨格を有する類縁体が、Δlac-アセトゲニンとは異なる作用特性を示すことが明らかとなった。 今年度はさらに窒素原子を有する別の骨格についても同じような傾向が見られるかを調べると同時に、その具体的な阻害様式や阻害部位について検討を加えて行く予定である。
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Research Products
(4 results)