2005 Fiscal Year Annual Research Report
無触媒有機反応と化学進化の解明を目指した熱水中におけるC1化学の構築
Project/Area Number |
05J02253
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
諸岡 紗以子 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超臨界水反応 / アルデヒド / 不均化 / C-C結合生成反応 / C1化学 |
Research Abstract |
本研究ではこれまでに熱水中におけるホルムアルデヒドの自己(式(1))・交差不均化(式(2))、及び酸触媒による炭素-炭素結合生成反応(式(3))を見出し、速度論的解析から、反応物の初期濃度の調節のみによる反応の制御が可能であることを実証した。 2HCHO+H_2O→CH_3OH+HCOOH(1) HCHO+HCOOH→CH_3OH+CO_2(2) HCHO+HCOOH→HOCH_2COOH(酸性条件下)(3) ・ホルムアルデヒドの超臨界水中での反応経路を明らかにし、不均化反応についての水密度を変化させた速度論的解析から、反応機構についての知見を得た。超臨界水中では交差不均化の速度定数は自己不均化よりも2桁大きく、水密度増加により後者が加速するのに対して前者はほとんど変化しないことを見出した。ホルムアルデヒドは、自己不均化ではメタンジオールへの水和反応を経て反応し、交差不均化では直接ギ酸と反応することを明らかにした。また、中性熱水中での不均化反応はOH^-の触媒作用によって引き起こされるのではないことを見出した。 ・亜臨界水中においてC2アルデヒドであるアセトアルデヒドの場合も反応(1)-(3)が進行し、エタノール及び乳酸が得られることを見出した。また、反応物の初濃度調節によるアルドール縮合抑制に成功し、エタノール収率〜80%、乳酸収率〜45%をそれぞれ達成した。 ・量子化学計算及び分子シミュレーションによって、ホルムアルデヒドの水和反応(HCHO+H_2O→CH_2(OH)_2)の平衡定数に対する溶媒和の効果を広い温度圧力条件ついて明らかにし、この際、量子化学計算を担当した。
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