2006 Fiscal Year Annual Research Report
無触媒有機反応と化学進化の解明を目指した熱水中におけるC1化学の構築
Project/Area Number |
05J02253
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
諸岡 紗以子 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超臨界水反応 / ホルムアルデヒド / ギ酸 / 不均化 / Cl化学 / メタノール / メタンジオール / 六員環 |
Research Abstract |
1.ホルムアルデヒドの超臨界水中での反応経路を明らかにし、自己(式(1))・交差不均化反応(式(2))についての水密度を変化させた速度論的解析から、反応機構について論文を発表した。 2HCHO+H_20→HCHO+CH_2(OH)_2→CH_3OH+HCOOH(1) HCHO+HCOOH→CH_3OH+CO_2(2) 400℃の超臨界水中において、自己・交差不均化は水密度増加により加速し、水密度0.4g/cm^3付近で最大値をとることを見出した。これら二種の不均化の反応機構について、自己不均化ではホルムアルデヒドがメタンジオールへの水和を経て反応し、交差不均化では直接ギ酸と反応するモデルを提案した。自己不均化の速度定数の水密度依存性がホルムアルデヒド水和反応によって説明でき、また、超臨界水中では交差不均化の速度定数は自己不均化よりも2桁大きいが、この見かけの速度定数の差もホルムアルデヒドとメタンジオールの存在比で説明できることを示した。遷移状態理論に基づき、実験で得られた速度定数と、分子動力学・量子化学計算によるホルムアルデヒド水和反応及び自己・交差不均化の平衡定数から、ホルムアルデヒド自己・交差不均化の反応機構が似通ったものであることを示した。即ち、二種の不均化はどちらも六員環形成を経て、還元剤であるメタンジオールもしくはギ酸の持つ水酸基の水素と炭素に直接結合している水素が、ホルムアルデヒドに受け渡される形で進行すると考えられる。 2.ホルムアルデヒド自己・交差不均化の反応機構について、提案したモデルを基に量子化学計算を行い、遷移構造の決定に成功した。量子化学計算によって予測された活性化自由エネルギーは、超臨界水中における実験から得られた値とよい一致を示し、提案した反応機構を理論的に裏付ける結果となった。現在、この内容についての論文を作成中である。
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Research Products
(2 results)