2005 Fiscal Year Annual Research Report
カタユウレイボヤにおけるトランスポゾン挿入変異体shrinkerの解析
Project/Area Number |
05J02260
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 輝実 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カタユウレイボヤ / トランスポゾンMinos / 挿入変異体 / alpha-2-macroglobulin |
Research Abstract |
カタユウレイボヤのトランスポゾン挿入変異体balloon(shrinkeを改名)ついて、すでに同定されていた3つのトランスポゾン挿入箇所のうち、alpha-2-macroglobulin(A2M)遺伝子の第24イントロンへの挿入が変異を持つ個体のゲノムに必ず存在することが判明した。変異体についてRT-PCRによりA2M遺伝子の転写の有無を確かめたところ、A2M遺伝子のmRNAはトランスポゾンの挿入箇所より上流部分については検出されるが、下流部分については検出されなかった。このことから、balloon変異体のA2M遺伝子はtruncated formで転写されており、balloon変異体の原因遺伝子はA2M遺伝子であると思われる。A2M遺伝子についてカタユウレイボヤでの発現パターンをin situハイブリダイゼーションによって調べたところ、卵割期では発現が検出されなかったが、尾芽胚期から表皮で弱い発現がみられるようになり、変態後は少なくとも血球、内柱、鰓で発現がみられた。さらに詳しく発現パターンを解析するため、A2M遺伝子のプロモーターにGFPをつなげたコンストラクトを作製し、カタユウレイボヤ卵にエレクトロポレーションにより導入したところ、変態終了まではGFPの発現が見られなかったが、変態後には鰓、表皮、消化管、内柱、peripharyngeal bandにGFPの発現が確認された。このようにA2M遺伝子の発現は、balloon変異体の表現型が現れる箇所に観察された。 A2Mは旧口動物、新口動物にひろく存在するprotease-inhibitorであり、自然免疫に関わるとされている。ヒト、マウスのA2M変異体は重篤な変異を示さないことが知られており、本研究からA2Mの機能に関して新しい側面が見えてくる可能性がある。
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