2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J02263
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東樹 宏和 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 共進化 / 軍拡競走 / ツバキシギゾウムシ |
Research Abstract |
本年度は博士論文のまとめの年にあたり、論文執筆に重点をおいた。昨年度までの段階で、共進化とよばれる現象が非常に小さな空間てきスケールで変動していることを示唆する研究結果が得られており、影響力のある学術雑誌への掲載を目標とした。 その結果、進化生物学の分野で影響力の強いEvoluton誌に論文が受理され、申請者が取り組んでいるツバキシギゾウムシとヤブツバキの軍拡競走系が国際的に認知される礎を築くことができた。また、この成果を進化関連の3学会合同大会であるEvolution2007で発表し、国外の研究者と意見の交換を行った。 また、この小さな空間スケールで変動する共進化過程において、地域間の遺伝子流動が及ぼす効果を検出するため、ヤブツバキのマクロサテライト遺伝子座における多型解析を行った。森林総合研究所において行ったDNA解析の結果を現在解析しているところである。また、このデータを用いて、ツバキの形質における遺伝率の推定も行った。その結果、ツバキシギゾウムシに対抗するうえでツバキが進化させていると考えられる形態形質が、遺伝変異をもつことが明らかになった。この結果は、共進化とよばれる現象が実際に起こっていることを示すうえで、重要な示唆を与える。 総じて、博士課程の研究成果をまとめ、今後の研究の進展への足場を固める上で、今年度における研究の進捗状況は、満足のいくものであった。また、「共進化の生態学」という分担執筆の書籍が文一総合出版から出版され、研究実績を社会に公表する面でも、成果を挙げることができた。
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Research Products
(6 results)