2007 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス小胞リサイクリングの分子的基盤とその制御機構の研究
Project/Area Number |
05J02264
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
髭 俊秀 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シナプス |
Research Abstract |
前年度までは、内在性神経ステロイドである硫酸プレグネノロン(PREGS)のシナプス伝達増強機構を、ラットcalyx of Heldにおいて調べた。この過程で、シクロデキストリンがPREGSの効率的なスカベンジャーとして機能することが判明した。この事から、シクロデキストリンをより高濃度で投与することで、その他の内在性脂溶性小分子の機能を検討する事が可能である事が示唆された。既にシクロデキストリンによって細胞膜中のコレステロール含有量を減少させる実験は報告されている。そこでcalyx of Heldにおいて興奮性シナプス後電流(EPSC)を測定しながらシクロデキストリンを投与したところ、EPSCは徐々に減少した。さらにこれによって自発性微小シナプス後電流の振幅は変化しなかったので、作用はシナプス前膜と予想された。シナプス前膜においてはコレステロールに富む脂質マイクロドメインが分子の集積やシグナル伝達に重要な機能を果たしている事が示唆されている。シクロデキストリンによるEPSCの減衰がコレステロールの除去によるものかを確かめるために、シクロデキストリンを作用させた後、コレステロールをシクロデキストリンとの複合体として投与したが、EPSCの振幅は回復しなかった。よって、シクロデキストリンはコレステロール以外の脂溶性小分子をシナプス前膜から除去し、シナプス伝達を減衰させると考えられ、このターゲット分子の同定はシナプス伝達の調節機構の解明に重要であると思われるので今後も探索を続ける。
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