2005 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス小胞リサイクリングの分子的基盤とその制御機構の研究
Project/Area Number |
05J02264
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
髭 俊秀 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シナプス |
Research Abstract |
本研究は、ラットcalyx of Heldシナプスにおいて生後発達に伴うシナプス小胞エンドサイトーシスの速度および分子機構の変化を検討する計画である。我々が先行研究(Yamashita et al.,2005)で生後一週齢の幼若ラットにおいて確立した、膜容量測定によるエンドサイトーシス速度測定法は、対象となる細胞の形状にその正確さが左右される。従って、細胞形状が大きく異なる生後発達の進んだシナプスに同方法を適用する前に、まず幼若期においてそれらの修飾機構が存在するか否かを検討する事から始めた。その過程で、脳内において産生される神経ステロイドである硫酸プレグネノロン(Pregnenolone sulfate;PREGS)が幼若calyx of Heldシナプスの伝達効率を大きく増強する事を発見した。ラット脳幹スライスを用いた電気生理学的手法によりこの増強機構を詳細に調べた結果、主に1.PREGSは神経終末の電位依存性カルシウムチャネルを増強する事でシナプス小胞の放出確率を上昇させる事、2.PREGSは神経終末において細胞外からのカルシウム流入を惹起し、自発性小胞開口放出を促進する事、などが分かった。このような生理活性物質による神経終末のカルシウムチャネルをターゲットとしたシナプス増強作用は他にあまり例が無く、二次的な作用としてエンドサイトーシスに何らかの影響を与える可能性もある。特に神経終末内のカルシウム濃度によるエンドサイトーシス制御の有無の検討は来年度の研究計画にも合致するので、PREGSの作用をさらに精査する予定である。
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