2006 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス小胞リサイクリングの分子的基盤とその制御機構の研究
Project/Area Number |
05J02264
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
髭 俊秀 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シナプス |
Research Abstract |
昨年度の研究では、内在性神経ステロイドである硫酸プレグネノロン(PREGS)が功若期のワットcalyx of Heldシナプスにおけるシナプス伝達効率を増強することを発見し、その作用が主に神経終末の電位依存性カルシウムチャネルの増強を介していることを突き止めた。本年度はその作用機序をさらに詳細に調べた。まず、カルシウムチャネルの増強以外の作用が関わっていないことを、シナプス前・後細胞からの同時全細胞記録により示した。また、PREGSの作用部位が細胞膜上にあるのか、それとも細胞内膜上にあるのかを、PREGSのスカベンジャーである環状デキストリンを細胞外液中あるいは神経終末からの全細胞記録ピペット内液中に含ませる事で調べた。その結果、環状デキスドリンは細胞外液中に投与した時のみPREGSの効果を抑制したので、PREGSは神経終末の細胞膜上に作用部位を持つことが分かった。さらに、カルシウムチャネルヘの作用が直接作用であるか否かを調べるために、HEK293細胞に強制発現させたP/Qタイプ、あるいはNタイプカルシウムチャネルヘの作用を調べた。PREGSはこれらの条件下でもチャネルを増強したので、作用は直接であると推測された。また、PREGSの作用はカルシウムチャネルのサブタイプに依存しないことから、従来知られているP/Qタイプ特異的なカルシウム依存性カルシウムチャネル増強とは異なる機構を介していることも予測された。これらの結果はEuropean Journal of Neuroscience誌に投稿し、受理・掲載された。
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Research Products
(1 results)