2005 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚情報処理メカニズムの探索-システム生理学と細胞生理学を結ぶ-
Project/Area Number |
05J02283
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 達雄 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 聴覚 / 音源定位 / 両耳間音圧差 / 外側毛帯背側核後部 |
Research Abstract |
音源定位とは空間的に音の位置を決めることであり、両耳間音圧差・時間差情報が重要である。音源定位研究は鳥類で進んでいるが、音圧差情報の計算過程はメンフクロウを用いた限られたin vivo研究があるのみで、in vitroは全くの未知である。 本課題ではin vivo・in vitro両方の実験をニワトリで行うことで、細胞生理からシステム生理まで一貫した解明を目指す。外側毛帯背側核後部(LLDp)を対象とし 1 in vivoにおけるニワトリの音圧差計算様式の解明 2-(2)in vitroにおける細胞生理学的解析 を行っている。 2-(2)の実験を行うために、2-(1)の手法確立を行った。 具体的な17年度の成果としては 1 麻酔下ニワトリの両耳に音圧を変えて音を提示し、細胞外電気記録を行った。メンフクロウと同様にニワトリのLLDp核において音圧差情報が抽出されていることを示した。その際、WindowsPCにてMATLABを走らせ実験を行った。この内容は論文投稿に向け準備中である。 2-(1) 核内の投射細胞・介在細胞が持つ生理学的意義が異なるはずである。そこで投射細胞標識手法を開発した。上位核(下丘)に蛍光色素(DiIやRhodamine B Dextran)を注入すれば、数日後LLDp核投射細胞が逆行性に染まる。2-(2)の実験はすべてこの手法を用い、蛍光顕微鏡下にて行っている。 2-(2) 脳幹スライスを用いたパッチクランプ法にて細胞の膜特性・入力シナプス特性の解析と行っている(NF回路のデータレコーダは本実験に用いている)。 現段階で明らかにしたことは a.低閾値・高閾値で活性化するKチャネルにより注入電流量に応じた発火頻度を示す b.対側音提示に相当する興奮性入力はAMPAR、NMDARを介し、同側音提示に相当する抑制性入力はGABARを介する 今後2-(2)をさらに明らかにしていきたい。
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