2006 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚情報処理メカニズムの探索-システム生理学と細胞生理学を結ぶ-
Project/Area Number |
05J02283
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 達雄 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 聴覚 / 音源定位 / 両耳間音圧差 / 外側毛帯背側核後部 |
Research Abstract |
音源定位とは空間的に音の位置を決めることであり、両耳間音圧差・時間差情報が重要である。音源定位研究は鳥類で進んでいるが、音圧差情報の計算過程はメンフクロウを用いた限られたin vivo研究があるのみで、in vitro は全く未知である。本課題ではin vivo・in vitro両方の実験をニワトリで行うことで、細胞生理からシステム生理まで一貫した解明を目指す。外側毛帯背側核後部(LLDp)を対象とし、下記のことを行っている。 1)in vivoにおけるニワトリの音圧差計算様式の解明 2)in vitroにおける細胞生理学的解析 具体的な18年度の成果としては a)音圧情報が中枢へ伝えられるにつれて、どのように処理されて音圧差情報が抽出されるかを調べた。具体的にはa-1)順行性・逆行性トレーサーを用いて、NA核(音圧抽出核)・LLDp核(音圧差抽出核)の解剖学的結合をニワトリで同定し、a-2)麻酔下ニワトリの両耳に音圧を変えて音を提示し、NA核・LLDp核の細胞から細胞外電気記録を行った。NA核における情報処理は単なる音圧情報抽出のみではなく、LLDp核の音圧迫情報抽出の感度を増幅していることが分かった。これは、ニワトリの中耳腔が左右空間的に連結し、両耳に提示された音が相互作用しているためである。この内容は論文投稿に向け準備中である。 b)a-1)の結果より明らかになったLLDp領域の細胞からパッチクランプレコーディングを行った。膜特性として、低閾値・高閾値で活性化するKチャネルにより注入電流量に応じた発火頻度を示すことを薬理的に確認し、シナプス特性として、対側音提示に相当する興奮性入力はAMPAR、NMDARを介し、同側音提示に相当する抑制性入力はGABARを介することを明らかにした。今後、シナプスを高頬皮刺激した時のシナプス応答をさらに明らかにしていきたい。
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Research Products
(1 results)