Research Abstract |
本年度においては,目的のタンパク質に特異的に反応する抗体を用いて,Western blot法及びELISA法の2種類の方によってFA-Hbの検出,定量をおこなった。ホルムアルデヒドを経気道曝露したマウス(C3H/HeN, female,8-9weeks)から,ヘパリン加採血した全血を用いて実験を行った。曝露実験は,産業医科大学産業保健学部に依頼した。曝露濃度は2000ppbとし,1日あたりの曝露時間は18時間とした。 測定対象試料は,ELISA法においては,100倍に希釈したマウス血液(全血)を,37℃で12時間インキュベートし,トリプシン消化したもの,Western blot法では未消化のものを使用した。ELISA法では,消化後の血液をPBSにて10000倍希釈し,プレートに100μL/well添加し,免疫反応させた。反応を停止させた後,マイクロプレートリーダー(Bio-Rad)にて,主波長450nm,副波長650nmにて測定を行った。Western blot法では,電気泳勁後のゲルをBlotting Buffer(0.025MTris,0.192MGlycine,20%Methanol)で10分間浸漬し,セミドライ式ブロッティング装置(NICHIRYO NEB3000W)にて,1枚あたり96mAで45分間ブロッティングをおこない,AE-6962型ライトキャプチャー(ATTO社製)にて測定を行った。 どちらの方法においても,コントロール群と比較して曝露群のFA-Hbの量の増加が確認された。また,曝露後非曝露期間を設けた群においてもFA-Hbの量の減少は見られなかった。このことからヘモグロビンの寿命を考慮に入れると,FA-Hbが累積的な曝露指標になりうると考えられる。FA-Hbが曝露指標となりうることを確認した。しかし,FA-Hbの同定には至っておらず,その構造はつかめていない。
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