2007 Fiscal Year Annual Research Report
異なる森林管理政策下におけるカレン人の森林利用形態の変容過程に関する研究
Project/Area Number |
05J02302
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福島 万紀 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タイ北部 / 焼畑耕作 / 休閑地植生 / 二次林 / 植物利用 |
Research Abstract |
〈植生調査の整理と記録〉タイ北部チェンマイ県メーチェム具において1年耕作、8〜10年休閑のサイクルで焼畑耕作を行う村落周辺で行らた植生調査の際に採取した標本の同定結果を記録し、1600の標本から得られた全430種について写真を撮影した。また同定を依頼したチェンマイ大学のハーバリウムに所蔵されていない種については標本ラベルを作成し、実生つき標本を数点寄贈した。 〈植生調査の解析〉焼畑二次林構成種の出現パターンとその決定要因を解明するために、同調査地の植生データの解析を行った。頂部斜面、上部谷壁斜面および下部谷壁斜面に位置する焼畑休閑林および非耕作林全54調査区における出現種は、木本254種65科、木本性つる47種20科、非木本性つる41種24科、草本73種32科であった。クラスター分析の結果、5つの植生グループが得られ、そのうちの4つの植生グループは頂部斜面から下部斜面への立地によって序列化された。これら4つの植生グループは湿潤-乾燥に対応した種のニッチ分割を示していると考えられる。またEupatorium odoratum(キク科・草本)やMacaranga denticulata(トウダイクサ科・木本)などで指標される植生グループは焼畑耕作放棄直後にどのような地形にも共通して出てくるグループであり、その後は地形に依存して種構成が決定する傾向が示された。これらのことから、タイ北部の山岳地域で安定的に行われてきた焼畑耕作によって形成された二次林は、ニッチごとに潜在自然植生の要素をある程度保持していると評価される。しかしながら、地形的ニッチ分割の傾向は天然林と比較すると小さく、人為攪乱に対する各種の応答パターンも種の分布に寄与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)