2005 Fiscal Year Annual Research Report
異なる森林管理政策下におけるカレン人の森林利用形態の変容過程に関する研究
Project/Area Number |
05J02302
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福島 万紀 京都大学, 農学研究科, 特別研究員DC-1
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Keywords | 焼畑 / 森林利用 / 二次植生 / 休閑植生 / カレン |
Research Abstract |
タイ北部からミャンマー西部へ続く山岳地帯では焼畑による二次植生が卓越している。同地域におけるカレン人の焼畑耕作と森林利用方法の変容と、その森林生態系への影響を明らかにするため、本年度はタイ北部のチェンマイ県メーチェム郡を対象に焼畑の実態と休閑植生に関する予備調査を行った。 <広域予備調査>メーチェム郡内において焼畑耕作を行うカレン人の村を計9村まわり、村人への聞き取り調査および休閑植生の調査を行った。一村は標高700m付近の落葉混交林帯に位置し、他は標高約1,000mから1,200mの熱帯山地林帯に位置していた。落葉混交林帯では各世帯が一筆の焼畑耕作地を開いていたが、常畑へ移行した世帯も多かった。一方熱帯山地林帯では全世帯が共同で焼畑耕作地を開き、メーチェムの中心市までのアクセスが車で2-3時間の範囲に位置する村では休閑年数が6年程度、さらに遠くに位置する村では7年-10年の休閑サイクルで焼畑耕作が行われていた。またとうもろこしやキャベツなどの換金作物の導入時期や程度は、各村までの道路の整備状況などにより異なった。 <村での予備調査>休閑6年のサイクルで焼畑耕作が行われている一村を対象に、焼畑休閑地および周囲の保護林に出現する種とその利用方法について予備調査した。焼畑休閑植生は、ブナ科、クスノキ科、トウダイグサ科など熱帯下部山地林によく出現する種で構成されていた。これらの種は薪炭材、建築材などに利用されるほか、実や新芽、樹皮などの一部が食用や薬用に利用されていた。特に一年目の焼畑耕作地では、新芽や樹皮を薬用に利用する種が多く見られた。 今後は村人による日常的な森林植物利用が、焼畑耕作の生業や焼畑休閑植生とどのように結びついているかを調査する。さらに休閑サイクルが6年程度と10年程度では、休閑地の林分構成および利用可能樹種にどのような違いがあるのかを調査する。
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