2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂質恒常性に関わるABCGファミリー蛋白質の膜輸送と複合体形成機構の解明
Project/Area Number |
05J02303
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平田 崇 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | コレステロール |
Research Abstract |
1.ABCG5/ABCG8と相互作用することが酵母Two-hybridにより示された分子について、共免疫沈降により全長のタンパク質同士が相互作用することを確かめた。これによりこの分子がABCG5とABCG8と結合するだけでなく、ABCA1やABCG1とも相互作用することが分かった。しかし、この分子をABCG5またはABCG8と共発現させても、ABCG5またはABCG8の局在は変化しなかった。ABCA1やABCG1は単独発現で細胞膜に出るホモログタンパク質で、ABCG5/G8と同様にコレステロールを基質とするトランスポーターであることより、この同定された分子はABCG5/G8の局在ではなくコレステロール輸送能に影響を与える可能性が考えられた。ABCG5/G8の脂質輸送活性を測定するには、ABCG5とABCG8が同等に発現した極性細胞が必要であったが、調べた極性細胞では得られなかった。今後は既に活性測定系が確立されているABCA1をもちいて、今回同定された分子の機能を調べる予定である。 2.ABCA1はマクロファージでコレステロールとリン脂質を血中のアポリポプロテインに運び、HDL形成に重要な働きをしている。ABCA1は脂質代謝関連遺伝子の転写の活性化に関わるLXRによって発現が亢進されるが、LXRはコレステロールから代謝されたオキシステロールをリガンドとして活性化するため、ABCA1の機能によってLXR活性は弱められる。これまでにABCA1が細胞外へのコレステロール輸送に因らず、LXR活性を抑制することが明らかとなっているが、その詳細な機構については不明であった。そこで、申請者はこの機構を明らかにすることを目的に実験を行った。ABCA1はERKの活性化を介してLXR活性を抑制すると考えられたので、このERKの活性化がコレステロール輸送による.ものかどうかを調べるため、細胞内コレステロールを減少させるシクロデキストリンで処理してERKの活性化を調べた。するとABCA1を発現させた時と同様にこの処理によって25-hydroxycholesterol依存的なERKの活性化が見られた。これよりABCA1は細胞内のコレステロールの再分配を介してERKを活性化し、LXR活性を抑制していることが示唆された。
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