2005 Fiscal Year Annual Research Report
コナラ・ミズナラ稚樹における昆虫類の食害と土壌養分の影響
Project/Area Number |
05J02313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水町 衣里 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | コナラ属 / 食害 / 生物間相互作用 / 補償成長反応 / 誘導防御反応 / 土壌養分 / 多次フラッシュ / シュート |
Research Abstract |
食害に対するシュートレベルの反応が、内的要因(シュート生産時期)と外的要因(土壌養分条件)によってどのように影響を受けるのかを明らかにした。 1.食害に対する補償成長反応について明らかになったこと これまでの研究から、コナラ稚樹が食害に対する補償的な成長を起こすことが示されている。今年度は、各稚樹すべてのシュートの親子関係、シュート長、食害の割合をもとに各シュートがどのような反応を示しているのかを解析した。その結果、食害の有無に関わらず、娘シュート出現確率と長さは、親シュート長に影響されることが示された。また、食害を受けた個体を見ると、娘シュート出現確率、長さともに親シュート被食率の影響を受けていた。さらに、娘シュートが親シュートの影響を強く受けていたことから、コナラ稚樹は食害に対してシュート単位で反応していると考えられ、これが積み重なって個体としての補償成長反応が現れていることがわかった。土壌養分が多い方で、個体としてのシュートの生産量は多くなるが、食害に対する「娘シュート出現確率の増加、シュート長の減少」といったシュートレベルの反応は、土壌養分の多少に関わらず見られた。 2.食害に対する誘導防御反応について明らかになったこと これまでの研究から、防御反応の指標である、葉のLMAや縮合タンニン含有量は、食害を受けた個体では増加すること、特に土壌資源が限られている個体で高い値を取ることが示されている。今年度は、シュートレベルでどのような反応が起こっているのかを解析した。その結果、成長期間の始めに生産される1次シュートでは、防御反応がより顕著に現れることが示された。1.でも述べたように、1次シュートは、その娘シュートである2次シュートの成長に大きく関わる生産器官である。1次シュートの防御反応が顕著であることは、その年の後の成長を確保する上で重要であることが示唆された。
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